テレワークに思い出す「働く場所」の改革
コロナ禍により「密」を避けるため、テレワークが広がっています。
現在はインターネットが発達していますので、早々にテレワークを試す企業も多かったのではないでしょうか?
会社に出社しないで業務をするスタイルは労働の歴史(というと大げさですが)において大きな変化であること間違いありませんが、振り返ってみると「働く場所」への注目と改革というのはこれまでもあったことが思い出されます。
社労士として開業するまでは企業に勤務していましたが、そこでは「働く場所」の改革として以下のようなものを経験しました。
・暗黙知の交流と活性化を目指した「ワークプレイス改革」
以前勤務した企業では暗黙知の交流・コミュニケーションの活性化を目指した「ワークプレイス改革」として、機能的・快適な「新しいオフィス」を経験しました。
この「新しいオフィス」はおしゃれなショールームが執務場所になったイメージです。個人レベルでは、割り当てられたデスクが広くパーティション付で作業に集中でき(普通の事務デスクはPC越しに正面の人と視線が合ってしまうのが気まずいのですよね)、グループの島はゆるやかな曲線で形作られ、事務室的な雰囲気があまりなかったことが思い出されます。また、執務場所から観葉植物を隔てて太陽光が入る打ち合わせスペースが設けられており、ちょっとした相談にとても便利でした。
「暗黙知の交流」がキーワードだっただけに、このときは「フェイス・トゥ・フェイス」直接会って話すことがとても重要視されていました。
このときのオフィスのイメージが下の画像です(※画像はpixabayからお借りしたもので、実際のオフィスではありません)。実際の作業デスクはもっと広くパーティション付でした。
・デスクとPCを共有化した「フリーアドレス化」
通常は会社のデスクやPCは個人専用になることが多いのですが、個人のデスク・PCを廃してデスク・PCを共有化していることもありました。
私のような事務業務専門は対象外でしたが、現場と事務所の2箇所あり、執務が現場中心になるような従業員は事務所の個人のスペースを最小化し(ロッカーと連絡棚のみ)、事務室で執務するときにはデスク・PCは共有のものを使用していました。
フリーアドレス化にはいろいろな目的があると思いますが、このときはコスト節減が大目的となっていました。
「使用頻度の低いデスク・PCはなくそう」というのは合理的ではあるのですが、コスト節減が目的の改革は勢いがつかないものだ、というのが個人としての実感です…。
・フリーアドレスを進めた「プライベートクラウド」(呼称は定かではないです)
上記のフリーアドレスではPCは共有でしたが、こちらでは敷地内全域でWi-fiが使用できる中シンクライアントのモバイルPCを1人1台与えられ、常にモバイルPCを携帯して業務をしました。個人デスクはありましたが、PCを持って打ち合わせをする時間が多く、フリーアドレスに近かったようにも思います。このときには今のテレワーク的なテレビ会議も多かったのですが、会議のときに各自が持参したPCで資料を閲覧できるので紙の資料を準備しなくてよかったのが意外な利点だったかな?そういえばこのときには「フェイス・トゥ・フェイス」という言葉はほぼ聞かなくなっていました。
このときのオフィスのイメージが下の画像です(画像はpixabayからお借りしたもので実際のものではありません)。会社敷地内であればどこでもモバイルPCから基幹システムや個人のデータベースにアクセスできて非常に便利でした。作業ファイルはすべてPCではなくファイルサーバに保存するのがルールだったので業務の共有などにも有効だったかもしれません。
そして今現在のテレワークに至るわけですが、振り返ってみると「働く場所」改革というものは社会情勢(会社の売上状況というよりももっと大きな、気分を伴った「景気」とでもいうべきものですね)に大きな影響を受けていることに気づきます。
オフィス全体がショールームのようだった「ワークプレイス改革」のときは好景気で会社全体がどんどん設備投資をしようと言う雰囲気でしたし、「フリーアドレス化」のときは不況もいいところ。「プライベートクラウド」は不況を脱してギアを上げよう、という時期だったと思います。
必要の方向に応じた改革が求められるのは当然ですが、執務場所のあり方も状況に応じてどんどん変わっていくものなのだと改めて感じるところです。