すごい本屋さん

すごい本屋さん

近所の書店で閉店するところが出てきたことに気づいたのはだいぶ前からになりますが、今も町から書店がどんどん消えています。
そこで本屋さんについて少し調べたところ以下のことがわかりました。

日本の本屋さんが減っている

日本の書店数は2020年5月1日時点での書店数は1万1024店で、これは20年前(2000年頃)と比べてほぼ半減となるそうです。

電子書籍の影響か?

書店が減っている理由としてまず思いつくのは、電子書籍の普及です。ネットでデータをダウンロードすれば書店に行く必要はありません。
昨今電車でもスマホでコミックを読んでいる人を多く見かけるようになりましたが、直近の調査によると2019年の電子書籍の売上は3750億円で、書店での売上に影響しているのは間違いなさそうです。
そこで電子書籍のインパクトを確認するために出版業界の市場規模を見てみると、2019年においては出版業界の総販売金額は推定で1兆5432億円、電子書籍はそのうち3072億円だったそうで、全体の2割弱を占めるにとどまっています。この数字からでは電子書籍が書店の売上に大きな影響を及ぼしているとは言えそうもなく、書店が減っているのは他になにか理由がありそうです。

雑誌売上が大きく減少している

電子書籍が増えてきたことだけでは書店の減少を説明しづらいので、書店の売上の構成を調べてみたところ統計資料は見つかりませんでしたが「中小規模の書店は雑誌の販売で利益を上げてきた」との記述を発見しました。
出版業界の売上がピークだったとされる1996年の雑誌の販売金額は1兆5633億円、それに対して2017年の雑誌の販売金額は6548億円と、最盛期のほぼ1/3にまで大きく落ち込んでおり、中小規模の書店の売上に貢献していた雑誌が売れなくなった、というのが書店の減少理由として大きそうです。

雑誌はコンビニで買うことが多い

書店の利益に大きく貢献をしていたのが雑誌だとすれば、雑誌を販売するコンビニが増えたことも書店に不利になったのではないかとすぐに思いあたります。
 コンビニは1996年から2017年までの20年で、書店とは逆に店舗数が倍に増えており、その分書店での雑誌販売数が減っていることが容易に想像できます。

その他いろいろ

その他、書籍購入を書店ではなくネットで購入する人が増えただとか、余暇の楽しみとして読書や雑誌購読よりもスマホやPCでのネット閲覧やゲームに時間とお金を使うことが増えただとか、昨今の世相を見れば書店に不利な理由はいろいろと出てきそうです。

2.すごい本屋さん

巨大書店「コーチャンフォー」

そんなこんなでビジネス環境としては弱り目に祟り目の書店なのですが、先日、すごい本屋さんを見つけました。
稲城市の若葉台にある文具&書店の店「コーチャンフォー」。
2014年オープンで、店名は「coach&four」だそうです。お店の入口は下の写真のとおり。

コーチャンフォーの何がすごいかというと店舗面積の広さ。
写真のとおり外見が本屋らしくないのですが、これが実は巨大なフロアの本屋さんなのです。
ワンフロアで延々と続く書棚は初めて見ると圧倒されること間違いありません。
フロア構成は下図のとおりなのですが、実際に店舗に入ると店舗を横断する通路果てしなく伸びていてすごいです。イメージとしてはホームセンター?でしょうか。

コーチャンフォーがすごいのは、圧倒的な店舗面積と豊富な書棚を利用して多種多様な書籍が置いてあるところ。
雑誌コーナーもラインナップが豊富で「こんな雑誌が出版されているのか」というマイナーな雑誌を見つけることができます。
インターネットがこちらから情報を取りに行くことが中心なのに比べ、コーチャンフォーの、延々と棚に並べられた多種多様な雑誌が目に飛び込んでくる様は圧巻です。
また郊外にあるため駐車場が広大なことも便利です。

驚きの蔦屋家電

すごい本屋さん、で思い出したのはこちらのお店です。こちらは店名から連想されるTSUTAYA+家電の店、ではありません。

2015年5月に二子玉川にオープンした蔦屋家電の中は多くが書籍のスペースになっています。
広大な店内は薄暗い照明がカフェのようでもあり、とにかく居心地のよさを重視した空間になっているのがまずすごいです。
そしてなにより書籍のラインナップが街中のTSUTAYAとはまったく違う!
「こんな本あったの?」という本が書棚にたくさんあります。
蔦屋家電には「BOOKコンシェルジュ」が分野に応じて8人も在籍しており(スゴイ)、そのコンシェルジュが中心となって本の品揃えを選んでいることでこの素晴らしい書店を形作っているようです。
蔦屋家電は平日でも2万人超ものお客様が訪れるそうです。蔦屋家電は川崎市から二子橋を渡ってすぐで近いのもよいです。

3.これからの本屋さんはどうなるか?

アメリカでは、書籍販売の30%がアマゾンからの購入になっているそうです。日本でも今後もネットを通じて購入できるものはネットで、という流れは変わらないでしょうから、今後も書店のビジネス的な苦境は続くものと思われます。
コーチャンフォーと蔦屋家電のベースには広い売り場面積やそれを可能にする資本といった条件がまずあるので街中の書店がそのまま真似することはできないのですが、そういった条件を除いてどちらにも共通するのは、店先で意外な本を見つける驚きと楽しみがあることです。「実店舗ならではの魅力」がどういったものかを知るヒントには大いになるのではないでしょうか。